権利関係 第3章 代理

2020年8月13日

目次

さて、3日目。

使うのは日建学院のどこでも学ぶ宅建士 基本テキスト2020である。

今日は「代理」について。

例えば、同じ時間に全然別の場所で契約をするケースは、民法では自分ではなくて別の人間に契約してもらうという代理ということができるよ。
というのがこの章のテーマである。

代理ってのは一般的にも使われる言葉だし、この章は理解しやすいかもしれない。

代理とは

代理は、契約自体は代理人が締結するにもかかわらず、契約によって発生する義務や権利は代理人ではなく、本人に帰属するというのが代理なのだ。
当たり前と言えば当たり前だが。

で、この代理を有効にするには・・・

代理を有効にするには

1・本人が代理人に代理権を与えること
2・代理人が、本人の代わりに契約することを表すこと

が必要である。
1を代理権の授与といい、2を顕名(けんめい)という。

代理人の契約

顕名

本人に代わって代理で契約します。ということを明示しなければ、代理人が契約者本人と勘違いされてしまう。
なので、「私はA(本人)の代理ですよ」と明示しなければならない。これを顕名という。

代理行為の錯誤・詐欺・強迫等

代理人が相手に騙されて契約をした場合、「本人」が契約を取り消すことができる。
そして代理人は契約者本人ではないので、契約を取り消すことはできない。

契約に詐欺、錯誤、強迫ががあったかどうかというのは、代理人を基準として考えるのだ。

代理人の行為能力

初日に制限行為能力者を学んだが、彼らを代理人に任命することも可能である。
代理人自体がリスクを負うこと無いからである。
だが、代理人が制限行為能力者だから・・・ということを理由で契約を取り消すことはできない。

代理権

では、次に代理権について考えていこう。

任意代理・法定代理

未成年者に対する保護者のように法律の規定によって与えられた代理人を法定代理人という。
これに対して、委任契約によって与えられた代理人を任意代理人という。

権限の定めのない代理人の権限

段々と何を言っているのか解らなくなってきたが・・・。

「ちょっと数日留守にするからさ、あなたに私の代理をお願いしたい」

という、具体的に何を代理するのか決めてない代理を「権限の定めのない代理人」と定義する。

こんなあいまいな代理人が、高額な物件の売買ができてしまったら問題物である。

このような「権限の定めの無い代理人」には、保存行為、利用行為及び改良行為が認められている。

保存行為とは、財産の現状を維持する行為。
利用行為とは、財産を利用して収益を図る行為。
改良行為とは、財産の価値を増加する行為。

がある。

自己契約・双方代理の禁止

本人Aに代わって、代理人Bが契約相手Cと契約するケースにおいて。
契約相手がC代理人Bを兼ねるのは禁止されている。
これを自己契約という。

また、本人Aと相手方Cの双方の代理を同一人であるBが代理するのを双方代理といい、これも禁止されている。
なぜなら本人にとって不利な契約を結ばれる可能性が高いからである。

ただし、本人、当事者双方が承諾していれば、有効である。

代理権の消滅事由

本人や代理人が、死亡したり、破産したり、後見開始の審判が下されたりすることで、代理権が消失する。

これも法定代理か任意代理か、本人か、代理人かということで消失したりしなかったり複雑に分岐しているのでテキストで学習すべし。

簡単に言えば、死亡した場合は、いずれのケースも消失する。破産

復代理

復代理とは代理人が更に別の人に代理権を与えることである。
本人Aの代理Bが、更に代理を復代理Dを任命して、Dは本人Aの代わりに相手方Cと契約することができます。
その際にDは、Aの代理としてあなたと契約しますよ。という顕名をする必要がある。
復代理人Dが行った契約は代理人Bには一切影響せずに直接本人Aに帰属する。

復代理人の代理権

前の例で言うと、代理人Bが死亡した場合、復代理人Dはその代理権を失うと言うことである。

復代理人の選任

任意代理人は、原則として復代理人を選任することができない。
が、本人の承諾がある場合ややむを得ない事由が復代理人を選任することができる。

そして、法定代理人は自分で勝手に代理人をやめる事ができない。
なので、いつでも自由に復代理人を選任することができる。

無権代理(狭義の無権代理)

例えば、Aが所有する賃貸アパートの家賃の管理について代理権を受けていたBが賃貸アパートをCに売却してしまった場合。
売却する権限まで与えてない場合は代理権を受けていないので「無権代理」という。

無権代理の効果は原則として本人に帰属しない。

では、無権代理行為があった場合、本人や相手方ができることを見てみる。

本人ができること

まず一つは「追認」。無権代理行為でもあっても本人に不利益になるとは限らない。
無権であっても、事後に本人が、まぁいっかと追認することでその契約自体を有効とすることができる。

そして、追認の拒絶。普通に拒否である。認めないと、契約が本人に帰属することはなくなる。

相手方ができること

本人の「追認」「追認拒絶」があるまで相手は微妙な立場になる。
そこで相手方にもできることがある。

1つは「催告権」。これは本人に対して「追認するか、追認拒絶するか、はっきりしてくれ」と催告することである。
本人が回答しない場合は「追認を拒絶したもの」としてみなされる。

2つ目は取消権。無権代理であると知らなかった(善意)の相手方は本人の追認があるまでは、その契約を取り消すことができる。
相手方の方から「なかったことにしてくれ」と取り消すことができるのである。

3つ目は「無権代理人への責任追及」。これは善意無過失の相手方は無権代理人に対して、契約を履行を請求したり、損害賠償を請求することができる。

無権代理と相続

無権代理人が死亡するとどうやら本人に相続されるらしい。
そして本人が死亡すると無権代理人が本人の権利を引き継ぐらしい。
本人が死亡することで、無効だった権利が有効になるってことだろうか。
なんか殺人事件に発展しそうなルールな気がするが・・・はて。

表見代理

無権代理行為であっても、諸事情で代理権があるように疑いの余地がない場合、有効な代理行為として、契約を有効にするのが表見代理という。
これは代理権があるとして信じた相手方を保護するルールである。
が、全部の契約を有効するとそれを悪用するケースがが多発するため、本人に攻められるべき理由があり、相手方が守られるべき理由もある場合に限り本人に契約が帰属し履行義務が発生する。

まとめ

代理人については、代理権があるか否かをまず判断。
代理権があるならば、それは当然有効であり、本人に帰属する。
代理権がなければ、無権代理なのか表見代理かを判断。
表見代理ならば有効
無権ならば本人の追認があるか。追認があれば当然有効。
なければ、相手方が、「催告権、取消権、無権代理人に責任を追及する」権利がある。